健康相談室
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尿蛋白が陽性だったのですが、どのような意味があるのでしょうか?
まず、健康な人の場合でも尿蛋白が認められることがあります。
例えば過激な運動、精神的ストレス、過度の肉食、熱い湯での入浴、月経前、などに生理的蛋白尿が一時的に出現することがあります。
ですから1回のみ蛋白尿が認められたからといって、即、病的であるとの診断にはなりません。
早朝尿(朝起きがけの尿)と病院来院時尿を比較することや、病院での詳しい検査が必要となります。
正常範囲を超える尿蛋白の原因としては、
- 尿が作られる糸球体という部位からの蛋白成分の漏出(糸球体性蛋白尿)
- 尿細管といって必要な成分の再吸収を行う部位での障害(尿細管性蛋白尿)
- 血液中に糸球体を容易に通過してしまう異常な小分子蛋白が増加した場合(over-flow型蛋白尿)
が考えられます。
具体的な疾患名としては腎炎、ネフローゼ症候群、腎硬化症、尿路感染症、尿路系の異常などが挙げられます。
まとめると、1回尿蛋白が陽性だったからといって、それがすぐに異常を意味するものではありません(もちろん程度にもよりますが)。
逆に、2回目の検査で陰性になったからといって、必ずしも正常であると断定もできません。
経過観察が診断や治療に重要となりますので、体重の変化、浮腫の有無、尿量の変化などに注意することが大切です。

尿糖が陽性だったのですが、糖尿病なのでしょうか?
尿糖が陽性の場合は、尿中に糖が漏れ出てくる病的状態が考えられます。
当然糖尿病の可能性が最も考えられますが、注意していただきたいのは 尿糖=糖尿病 では必ずしもない ことです。
糖尿病の診断は、臨床症状や HbA1c や 75gOGTT といった糖負荷試験の血液結果などを総合的に判断します。
糖尿病ではないのに尿糖が見られる場合には、腎性糖尿といって腎尿糖排泄閾値が低いために尿糖が陽性となります。
すなわち、通常腎では糸球体でろ過されボウマン嚢に排泄されたブドウ糖も尿細管というところで再吸収されます。
ところが腎尿糖排泄閾値が低い場合には、尿細管でブドウ糖が完全に再吸収されずに尿に糖が漏れ出てくるということになります。
腎尿糖排泄閾値はすべての人で一定ではないので注意が必要です。
また、尿細管機能障害を伴う腎疾患では、尿細管での糖質再吸収が阻害され、尿糖が陽性になります(Fanconi症候群など)。
これは症候性腎性糖尿といって治療が必要な場合もあります。
もうひとつ、ビタミンCの内服でも尿糖が偽陽性になることがあるので注意が必要です。

尿潜血反応が陽性だったのですが、どのような意味があるのでしょうか?
尿の通り道(腎臓、尿管、膀胱、尿道など)に異常があると、尿の中に赤血球が混じることがあります。
この赤血球を化学反応を用いた試験紙法で調べ、陽性反応が認められると尿潜血反応(+)〜(3+)で評価します。
健康な場合でも尿に微量の赤血球が混じることがあるので1回の検査だけで疾患の判断はできません。
また、生理中の女性の場合は生理が終わってから検査を行います。
早朝尿(朝起きがけの尿)と病院来院時尿とを比較して、運動による尿への影響を調べることもあります。
尿潜血がでやすい疾患としては、腎疾患では腎がん、腎炎、尿結石、腎の外傷などが、尿管疾患では尿管結石、尿管腫瘍などが、膀胱疾患では膀胱腫瘍、膀胱結石、膀胱炎などが、尿道疾患としては尿道炎、淋病、前立腺炎、尿道異物などが考えられます。
また、尿沈渣との比較も重要で、腎臓より出た赤血球は膀胱や尿道由来のものよりも変形や破壊が著しく、また赤血球の形態が様々で不均一であることが一般的です。

家で血圧を測ると正常なのですが、健診や病院で測定するといつも高いと言われます。どうしてなのでしょうか?
普段はそうでもないのに医師・看護師など白衣を着た人の前ででは血圧が高くなることを「白衣高血圧」といいます。
これは、緊張や待ち時間のイライラ、病気への不安などの精神的影響を受けて、血圧が上昇するものです。
自宅など、リラックスできる場所で測定して正常血圧であれば経過観察となることが大半です。
しかし、感情の高ぶりで血圧が急激に上昇することは危険であり、また、血圧が高い状態が続くことは体にとって負担となります。
白衣高血圧といわれた方は、血圧手帳をつけて1日の血圧の変化を知りましょう。
そして、どんなタイミングで高くなるのか、高い状態がどれくらい続いているのかなどを把握した上で治療の必要性、生活上の注意点などを医師にご相談ください。

いつも血圧が低いと言われます。大丈夫でしょうか?
血圧が収縮期血圧で100mmHg以下、あるいは拡張期血圧で60mmHg以下を「低血圧」と言いますが、低血圧だけの所見であれば「血圧が低い健康な人」であり、病気とはいえません。
しかし、血圧が低いことによって、体がだるい、疲れやすい、めまいやふらつきがある、食が細く十分な栄養が摂取できないなど、日常生活において不快な症状が出る場合があります(低血圧症)。
特に症状がない場合は経過をみて構いませんが、このような症状がある場合には内服による治療法もありますので、医療機関を受診し相談しましょう。

低血圧症と貧血症は同じ意味なのでしょうか?
低血圧症と貧血症は同じものだとよく誤解されますが、それは立ちくらみ、倦怠感や無気力感などの症状が似ているためと考えられます。
低血圧症は「心臓から血液を押し出す圧力が弱いので血液循環が円滑に行われず、脳や体の末端への血流が悪くなる」ために症状が出現した状態のことをいいます(“いつも血圧が低いと言われます。大丈夫でしょうか?”の項目もご参照ください)。
それに対して貧血症は「赤血球数の減少、赤血球中の酸素運搬物質(ヘモグロビン)の減少、赤血球の容量減少などにより、赤血球の体組織への酸素運搬能力の低下が起こる」ために症状が出現した状態のことを指します。
このように低血圧症と貧血症は一見似たような症状であったとしても、原因が異なるため対処方法や治療方法も異なります。
立ちくらみがひどくても、昔から低血圧気味だったからと勝手に自己判断しないで下さい。
後々、その原因が貧血であると判明したときには取り返しのつかないことになっていた、ということにもなり兼ねません。
低血圧症や貧血症が疑われるようなら医療機関を受診し、検査を受けるようお勧めします。

血糖値が高いと糖尿病ですか?その時によってかなり数値が違うのですが・・・?
健常人の血糖値は空腹時で110mg/dl未満、食後2時間経ってからの値で140mg/dl未満です。
糖尿病と診断される血糖値は空腹時で126mg/dl以上、随時血糖値では200mg/dl以上です。
また、正常とも糖尿病ともつかないものを境界型と呼んでいます。
血糖値はストレス、食事、運動、飲酒、喫煙など種々の因子によって大きく変動します。
ですから、一回だけの血糖値のみで糖尿病の診断は出来ません。
例えば空腹時血糖が100mg/dl未満であっても食後血糖値が200mg/dlを超える人もいます。
また、糖尿病の人であっても血糖値が40〜50mg/dl以下まで下がることもあります(低血糖と言います)。
一般的に血糖値が高い人では糖尿病の可能性が高いのですが、確実に診断するためには少なくとも血糖値を2回以上測定する、HbA1c値(その時点での血糖値ではなく、過去1〜2ヶ月の血糖値の状態を表している)を参考にする、ブドウ糖負荷試験(75gのブドウ糖を摂取してもらい、30分後と90分後に採血をする)を行う、臨床症状を参考にするなどが必要です。
1回でも血糖値が高いと指摘を受けた人は、病院を受診して糖尿病か否か必要な検査を受けるようにして下さい。

血液検査だけで癌の診断は出来るのでしょうか?
腫瘍マーカーという血液でがんを調べる方法があります。
たとえば、肝臓がんの場合AFPやPIVKA-Uというマーカーが、大腸がんではCEAというマーカーが、すい臓がんではCA19-9というマーカーが有名です。
確かに腫瘍マーカーはがんの診断に有用ですし、採血だけで済むので気軽な検査といえます。
しかし、腫瘍マーカーはあくまでも補助診断に過ぎません。
CEAを例にとると、この数値が上がっていると大腸がんなどの消化器系がんの可能性が高いといえますが、実際にはがんが存在しても上昇しないことがあります(擬陰性)。
逆にがんのない人でも(例えば喫煙者)上昇することがあります(擬陽性)。
以上のように腫瘍マーカーだけでがんを診断するのは極めて危険です。
あくまでも参考程度と考えておいた方がよいと思います。

心電図ではいったい何がわかるのでしょうか?
心臓が拍動するためには電気的な刺激が必要です。
この刺激の元は洞結節というところにあり、心筋内に存在する電気伝導路を通って心筋全体に伝えられます。
一方、心臓が収縮するときにも大きな電気が発生します。
これら一連の電気の流れを手足や胸壁につけた電極で観察したものが心電図です。
心電図検査によって多くの心臓の異常がわかります。
例えば、不整脈とは心臓が規則正しく拍動しない状態を言いますが、心電図をとることで不整脈の種類とその原因がわかります。
また、現在不整脈がみられなくとも、将来致死的な不整脈を起こしうるような危険な状態も心電図で予測することが出来ます。
一方、心筋梗塞、狭心症は日本でも増加している疾患のひとつです。
この診断にも心電図は有力な情報を提供します。
その他、脈拍数、心臓の壁が病的に厚くなっているだとか、心臓に負担がかかっているかなどもわかります。
ただ、普通心電図検査は1分もかからずに終了しますので、この間に不整な脈が出現しなければ診断不可能ですし、心電図上に異常が表われないタイプの狭心症や心筋梗塞もあるので注意が必要です。

時々胸が苦しくなることがあるのですが、検診の心電図検査ではいつも異常なしと言われます。大丈夫でしょうか?
まず胸が苦しいという症状が、必ずしも心臓に起因しているとは限らないことを理解してください。
大動脈という血管が原因かもしれないし、肺、胸膜、縦郭、脊椎などに原因があるのかもしれません。
仮に心臓に原因があったとしても、狭心症、不整脈、心臓腫瘍などいくつかの疾患が考えられます。
狭心症や不整脈では症状が起きているときに心電図をとらなければ診断できません。
心臓腫瘍に至っては心電図上、異常が出ない可能性のほうが高いと考えられます。
ですから検診の心電図で異常なしであっても、正常ということにはなりません。
ぜひ専門医の診察を受けるようにしてください。

妊娠している可能性があるのですが、どうしても胸部レントゲン写真を撮影しなければいけませんか?
妊娠しているとは知らずに胸部写真を撮ってしまい、後で妊娠に気づいたということは実際にも起こりうることです。
結論から言うと、胎児への放射線の影響は100%安心していただいてもよいかと思います。
保健所によっては母子手帳の発行の際に胸部撮影を行っているところもあるくらいです。
理由としてはまず第一に、胸部写真では腹部にはほとんど被曝がありません。
第二に、その胸部写真撮影の際の被曝量ですらごく僅かに過ぎません(0.1ミリグレイ以下)。
妊娠中のどの時期でも胎児の被曝線量が100ミリグレイ未満ならば奇形など放射線による悪影響の心配はないとされています。
子宮に直接放射線が当たる骨盤CTですら平均25ミリグレイに過ぎません。
ですから、胸部写真で中絶を考慮しなければならないほどの胎児被曝が生じうることは、絶対にないと断言できます。
それでも心配な方は理由をのべて写真撮影を拒否してください。
そして後で妊娠していないことを確認してから検査を受けるようにしてください。
その場合も、月経開始日から10日以内に受けられることをお勧めします(妊娠していないことが確実な時期)。
不安があれば、放射線技師あるいは医師に相談し、納得してから検査を受けるようにしてください。

検診で肺の写真を撮ってさえいれば、肺がんは心配ないのでしょうか?
残念ながら、胸部レントゲン写真だけでは肺がんは見つからないことがあります。
その理由の第1番目は大きさです。
肺がんの病巣は淡い影として認められることが多く、1cm以下の小さながんでは見逃されてしまう頻度が高くなります。
5mm以下ではまず発見は難しいと思われます。
次は場所の問題です。
肺野末梢部では比較的発見は容易なものの、肺門部に向うほど血管陰影や気管支陰影との重なりが多くなり、特にがんが太い気管支内に存在し、かつサイズが小さければ、レントゲン写真ではまず発見は困難です。
また、心臓と重なった部位や、肺尖部・肺底部も死角といえます。
これらを補う検査として代表的なものがCTです。
直径2-3mmほどのごく小さながんも発見可能ですが、あまりにも小さいためにがんか否かの質的診断はCT単独では困難なこともしばしばです。
その他、肺がんの診断には喀痰細胞診、気管支鏡、RI検査など多くの検査法があります。
どの検査方法も一長一短あり、ひとつの方法だけで診断するのは不可能です。
ですから、胸部レントゲン写真で異常なしと診断されていても気になる症状があれば、必ず病院を受診するようにしてください。

よくMRI検査と聞きますがCTよりもよくわかるのでしょうか?
MRIもCTも同じような写真が撮れますが、その原理はまったく異なります。
MRIは核磁器共鳴現象というものを利用して写真を撮影します。
詳細は長くなるので省略しますが、X線を利用して撮影するCTとは当然違った画像が得られます。
MRI検査を行えば何でもわかるのだという変な誤解をしている方が結構いらっしゃいます。
確かにMRIはすぐれた検査法ですが、どの検査方法にも一長一短があります。
決して、魔法のように何でもわかる検査方法ではありません。
長所としては、X線の被曝がないこと、脳の疾患、骨・関節疾患ではCTよりも多くの情報が得られるなどがあげられますが、逆に短所としては磁石を用いて検査するので心臓ペースメーカーの入っている人では行えない、脳クリップなど金属が身体の中に入っている人では行えないことがある、肺などの空気が多い臓器ではCTよりも情報量が少ない、検査代が高いことなどがあげられます。
また、一口にMRIといっても、その性能はピンキリです。
読影にも専門的な知識が必要です。
MRIを撮影してもらったから安心だということにはならないことを銘記しておくべきです。
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